不安感の改善事例

S.Sさん(38歳 女性)は、予期不安がとても強く、朝になると、いつも不安感でグルグルと不安を巡らせてしまいます。

仕事のこと、子供の参観日や運動会のこと、一か月以上先のママ友とのランチ会のこと、、、、。
「仕事が忙しくなったら嫌だな。」「参観日は行ける自信がないな。」「ランチの時に発作が起きたらどうしよう。」など、いつも何か不安で頭がいっぱいです。

しまいには、胃腸の調子まで悪くなってしまいます。


セッションで、まずはS.Sさんの思考パターンを読んでいきます。
いつも不安になるポイントは、“人”です。

※仕事が忙しくなる→誰かに迷惑を掛けたらどうしよう。無理なお願いをされたら断れない。
※参観日は、自信がない→知らない人がいるから人目が気になるから、緊張する。発作につながる。
※ランチの時に発作が起きたらどうしよう→変な噂を立てられたらいやだ。恥をかく。

こんな感じで、不安に思ってしまうんです。

これを、“気づきとコーピング”で、切り替えていきましょう。

まずは、グルグル思考に陥って、“また、人のことを気にして不安になったいる自分に気づくこと”ここから始めます。

気づいたら、一拍おいて落ち着いて気持ちを切り替えていきましょう。

※仕事が忙しくなる→誰かに迷惑をかけたらどうしよう。無理なお願いをされたら断れない。→今まで誰かに迷惑をかけましたか?いつもきちんと仕事をしている自分を思い出してください。忙しくなる前に、対策を立てましょう。無理なお願いをされたら、余裕がない時はきちんと断るほうが、安請け合いするより親切です。

※参観日は、自信がない→知らない人がいるから人目が気になるので緊張する。発作につながる。→みんな人のことなんかあまり関心がないですよ。自分に意識を向けすぎないようにしましょう。発作が起きても、席を外せるように出口に近い場所をとって、避難できるようにしましょう。

※ランチの時に発作が起きたらどうしよう→発作の姿を見られて、変な噂を立てられたらいやだ。恥をかく。→苦しんでいる人を馬鹿にしたり、変な噂を立てるような人とは、付き合いをやめても問題ないです。心優しい友達だけで充分です。

このように対策と気持ちの切り替えをしたら、あとは不安感にとらわれないように、何か家事など別のことをして、“今に集中しましょう。“

また、不安感が出てきても、焦らずに、「ちょっと落ち着いてみよう。」と、また繰り返し同じようにやってみてください。

思考は、筋肉と同じで繰り返すことで鍛えられます。
最初は、不安感が再び出てくると、嫌になると思いますが、繰り返し切り替えていけば、ドンドン慣れてきて切り替えやすくなっていきます。

改善のコツ

不安発作に襲われると、「不安になってはいけない。」「不安感を消さないといけない。」と、焦る方が多いです。あなたもそうではありませんか?
まずは、不安になっているあなたを否定しないでほしいのです。
不安感というものは、誰にでもあるものだし、必要な感情の一つです。
大切なのは、“不必要な不安感”を減らしていくこと。
ここを見極めて、不安の原因を見つけること。
そして、何かにおびえている自分を緩めていくことなんですね。

発作に対する恐怖の改善事例

M.Sさん(28歳 男性)は、毎晩21時になると、過呼吸の発作が起きてしまいます。
20時30分ごろ、仕事から自宅に帰るのですが、発作が怖くて夕食がとれません。

苦しむ姿を人に見られなくないので、仕事上の付き合いも断って、残業もそこそこに帰宅すると、部屋に閉じこもって、一人で苦しんでいました。

なぜ、そんなことが起きるのか知りたくて、病院に行っても心肺機能は異常なし。
不安のまま、毎日、過呼吸の発作に苦しんでいました。

まず、M.Sさんになぜ、過呼吸発作が起きるのか、そのメカニズムを説明しました。

何らかの影響で、脳がストレスを受けてしまい、誤作動を起こし、ノルアドレナリンなどの不安物質を異常分泌することから、自律神経を乱れさせて、呼吸器に発作を起こさせていることを説明しました。

M.Sさんは、大学時代に肺の病気で、何度も手術をしたことを話してくれました。
なので、「また、肺の病気で手術なのか!」と、過剰に恐れていて、自分で自分にストレスをかけていたことがわかりました。

肺自体は病院の検査で、ちゃんとしていることがわかったので、安心して良いということ。
これからの治療は、自律神経を整えるために、「発作が起きるに違いない。」と、いう思い込みを解くことが、大切な治療だということで納得してもらいました。

M.Sさんの会社の同僚に協力してもらい、夜、遊びに連れ出す計画を立ててもらいました。
21時の発作を恐れていたので、とても嫌がりましたが、何とか連れ出すことに成功!
夢中で遊んでいるときに、21時を過ぎても発作が起きていないことに驚いたM.Sさん。
それから、少しづつ、何回も同じような経験を積み重ねることで、過呼吸の発作が起きなくなりました。

改善のコツ

発作に対する恐怖の原因は、“発作が起きるに違いない”と、いう思い込みから始まります。
症状の原因は、“ストレスから脳が誤作動を起こし、ノルアドレナリンなどの不安物質が大量分泌されること”なので、「発作が起きるに違いない。怖いわ。」と、自分で自分にストレスを与えないようにすることがポイントになります。

外出恐怖の改善事例

T.Kさん(34歳 女性)は、自宅に引きこもって、もうすぐ一年です。
仕事から、自宅に帰る途中に激しい動悸に襲われて、自宅に逃げ帰って、心の底からホッとした経験があり、「自宅にいると安心できる」と、思い込み、その環境から抜け出せなくなってしまいました。
「こんなに心臓がドキドキすると、苦しくて死んじゃう!!」
そう思い込んでいるT.Kさん。
「出かけよ~」と、言われるだけで、動悸が激しくなる苦しみにおびえるのでした。


まずは、激しい動悸について原因をはっきりさせることが、はじめの一歩になります。

まずは、医師の診断を受けましょう。
激しい動悸といっても、いろいろです。
心疾患の場合もありますし、過労の場合もあります。心機能に異常がなければ、今度は神経系の異常を確認して、治療を進めるべきなんですね。

T.Kさんは、心機能は異常なしとのことでした。
ならば、“心臓や周囲の血管は正常”と、いうことです。
まずは、「良かったですね。」と、言いたいですが、異常なしといわれると、「こんなに苦しいのにどうして異常ないの?」と、余計に心配になる人がいます。
気持ちはわかりますが、それは、必要ない必配ですよね。

そして、外出するために、ベイビーステップで計画を立ててみました。
行動療法のコツは、“無理なく、楽しく、ちょっと頑張るを大切に”計画を立てていきます。
まずは、自宅から徒歩2分ほどのコンビニに行って、好きなプリンを買ってきて、家族と食べることにしました。

最初は、身支度をすることから。それだけで十分です。
そして、家から少し出てみる。
出ることができるようになったら、少しずつ距離を伸ばしていく。
途中で怖くなったり、発作が起きそうになったら、私にラインでメッセージや電話をして、症状を和らげる方法をお伝えして乗り越えます。
そうしながら、コンビニに行けるようになったT.Kさん。
次は、スーパー、ショッピングモール、学校の行事、お友達とランチなど、少しずつ普通に外出できるようになりました。

改善のコツ

外出できない方は、外出先で強い発作に襲われて、外出が怖くなった。そして、自宅にいることで得られる安心感から、外に出ることが嫌になった方が多いです。
もし、あなたがそうだとしても、決してご自分を責めないでほしいんですね。
そこに症状改善のヒントがあるんです。
なぜ、自宅にいると発作が起きにくいんでしょうか。
それは、“安心しているから”なんですね。
あなたに必要なのは安心感なんです。
それが一番の薬なんです。
なので、いかに外出しても、安心していられるか。これが大切になります。

乗り物恐怖の改善事例

M.Nさん(37歳 女性)は、電車に乗れません。
電車に乗っているときに発作が起きたことと、嘔吐している人に迷惑をかけられたことで、電車と嘔吐に関して恐怖感が根付いてしまいました。

一時期は、うつ傾向から引きこもってしまい、嘔吐恐怖から摂食障害、料理も作れなくなっていました。


まずは、家から少しづつ出ることから始めて、近くの駅までの散歩を繰り返しました。
慣れてきたら、駅で電車を眺めてみる。そして、ホームに立ってみる。
次は。電車に乗る段階ですが、その前に、心理教育で、嘔吐恐怖と電車に関しての恐怖を緩めていきました。
嘔吐に遭遇した時、電車に乗った時にどう対処するのか、対策を立ててから、実践しました。
そして、何を怖がっているのか、その恐怖は過剰なものではないのかなど、深く掘り下げていくことも大切です。

そして、電車の乗るときに、動悸の発作が起きそうになったので、私にラインしてもらい、対処法で発作を抑えた後、電車に乗りました。

次は、二駅先のカフェに行って、スイーツを食べて帰るなど、楽しみと自信を少しずつ積み上げていき、3か月ほどで、食事、料理、片道30分程度の外出なら大丈夫になりました。

改善のコツ

乗り物に乗れなくなった方は、“乗れなくなった乗り物と発作を関連付けている”んですね。
でも、たまたま発作が起きた時に、乗っていた場合もありますし、その乗り物に乗っているときにストレスがかかり、きっかけになった場合もあります。
どちらにしても、“発作との関連付けを緩めていくこと”が大切です。

それには、少しづつ慣らしていくこと。
まずは、電車を見に行くことや、エンジンをかけずに車に乗ってみるだけでも、十分に効果があります。
元気な時と比較して、「こんな少しぐらいじゃ、やってもしようがないんじゃない。」なんて思う必要はありません。
少しづつやることがいいんです。焦らないでいきましょう。

うつ病の改善事例

M.Yさん(42歳 男性)は、会社を経営していましたが、事情があって廃業。
別会社を立ち上げて、新規事業で頑張ることにしました。

若いころから会社を経営してきて、苦労をしてきたM.Yさん。
持ち前のバイタリティーで、再起を目指しますが、なんだか以前のように頑張りが効きません。
たとえるなら、アクセルを踏めば踏むほど、ブレーキがかかってしまう。そんな感覚に襲われました。

なかなか仕事も進まず、焦る毎日。
お酒の量も増え、家に閉じこもり、仕事か一人部屋でお酒を飲む毎日。
だんだん夜も眠れなくなってしまいました。

もちろん仕事も進みません。
頑張りが効かない自分への嫌悪感から、とうとう寝込んでしまいました。


心の病は、心の底にある“何か”が原因で発症することがほとんどなんです。
そこの根っこを取らないと、本当に治療することは難しいんですね。

M.Yさんは、とても元気いっぱいで親分肌の人柄です。
なので、人にあまり相談や愚痴を言うこともないし、言っても周りが、「また、大丈夫なんじゃないですか?」と、心配してくれません。

でも、実は、廃業したことへの罪悪感、そのために仲が悪くなった夫婦仲。子供への罪悪感など、ストレスをとてもたくさん抱えていました。
なので、悩んでいること、一つ一つのお話を伺い、気持ちの整理をつけていきました。
夫婦仲は、仲良くできればいいですが、“仲良くしなければいけないではなく、その気持ちを手放すこと”の大切さにも気が付いていただきました。

信頼できる友人たちにも、心の内を話したり、自宅ばかりにいるよりも、ストレスのかからない環境や、時間を作っていきました。
そして、食事内容を見直し、一人飲みを減らして、運動量を増やして体に良い負荷をかけて睡眠を促しました。

セッションを受ける前は、精神科の診断も受けて、薬も処方してもらいましたが、飲まないで、不眠は解消。
今は、仕事もずいぶん頑張りが効くようになり、さらなる飛躍を目指しています。

改善のコツ

うつといっても症状の出方は、最近特に多様化しています。
常にうつっぽい方もいますが、状況や環境によって、部分的にうつ症状が出る場合もあります。これを、新型うつ病とか、非定型うつ病といいます。
どちらにせよ、一番大切なことは、発症した原因を探って、向き合うことです。
表面上に出ている症状をどうにかしようとするよりも、なぜ、そうなったことをまず知りましょう。
元々元気な方ほど、ご本人も気が付かないことが、ストレスとなっていることが多いです。
その原因を知り、向き合うことが改善のための、はじめの一歩になります。

食事に対する改善事例

M.Sさん(40歳 女性)は、仕事のストレスから、食事がとれなくなってしまい、閑職に移動になってしまいました。

食欲は無くはないのですが、のどの違和感や、飲み込みにくさを感じて、嚥下障害になり、食事がとれないのです。
仕事から帰宅して、少し休むと食事はとれますが、会社では、食べられない状態でした。


まず、仕事のストレスを伺い、気持ちの切り替え方、自己否定から自己肯定感に転換して、メンタルを上げていくセッションをしていきました。
職場を移動になったことを機会に、心と体を整えて、次のチャンスに変えることに気持ちを切り替えることができました。

次は、帰宅して休まないと食事がとれないことへの自己嫌悪を取り除いて、外食に対するチャレンジを、“無理なく、楽しく”実践する計画を立てました。

元々、食事を楽しんでいたM.Sさん。
その楽しさを思い出すために、仲のいい親友に事情を説明して、遊びに行きがてら、食事をすることにしました。
まずは、軽い食事で、残したり、持ち帰りやすいものや、シェアして食べられるものからスタートです。

食べるものや、お店、時間帯を変えたり、様々なパターンを繰り返して、自信を積み上げていき、今では、何でも食べられます。
そして、帰宅して休まなくても、「ただいま。おなかすいた~。」と、食べられるようになりました。

改善のコツ

のどの違和感や、飲み込みにくさなど、いろんな症状の出方があります。
外食の場合は、緊張感や、食事する場所の環境が苦手、「残したら申し訳ない。」「食事中に発作が起きたら、店や、相手に申し訳ない。」そんな心理が働いているようです。
食事は本来、楽しいことのはずですよね。
なので、気のおけない相手、くつろげる場所、食べやすいものから、無理なく始めていきましょう。

断薬の成功事例

M.Uさん(57歳 女性)は、30年ほど投薬治療を受けています。
でも、薬に頼らないで治したいと一念発起され、半年ほど、私のセッションを受けていただきました。

多少症状が出そうになる時もありますが、問題なく暮らせるようになりました。
お薬も飲み忘れが増えてきたので、減薬に入ることにしました。


お薬の種類を伺い、即効性のある薬は残し、遅効性の薬から減らしていこうということにして、心療内科の先生に相談の上、減薬スタートです。
ポイントは、メンタルや体調や離脱症状の状態を見ながら、ゆっくりと減らしていくことです。

急激な断薬は、お勧めできません。
減らしたり、ある時期は、少し量を戻したりしながら、ゆっくりと、“身体だけではなく、心からも抜いていくこと”これが、とても大切です。

半年ほどかけて、断薬に成功したM.Uさん。
「30年の苦しみから1年で卒業できました。」と、今は、お仕事に、プライベートに忙しい充実した時間を過ごしていらっしゃいます。

改善のコツ

お薬を飲むことにとても罪悪感を持っていて、「早く薬をやめたいです。」そうおっしゃる方は多いです。
でも、お薬はあなたが健康になるために、一時的に使える道具ともいえるんです。
今、飲んでいない方は、飲まないままでもいいですが、飲んでいる方は、症状が改善した一番最後にゆっくりと減薬していくことをお勧めしています。
最初に急な断薬をすると、体調に変化が起きる場合があります。
そうなると、治療に専念しにくいです。
なので、症状が緩和していったときに、腰を据えてやると、ちゃんとお薬を卒業することができるんです。

職場復帰の成功事例

A. Sさん(35歳 男性)は、休職して自宅に引きこもっていました。
心療内科で、社会適応障害と診断されて半年たちます。
投薬治療を続けていますが、一向に改善しないので、私のセッションを受けられました。

まず、なぜ休職することになったのか。
そこを深く掘り下げていきました。
明るく気さくなタイプで、人と話すことが大好きなので、営業職に就いたとのこと。
私も話していて、「なるほど。」と、思わせられるような明るい方で、うつ傾向は強く感じられません。
ある意味、非定型うつ病で、職場や特定の仕事の時に発症して、心と体が言うことを聞かない感じです。

結局、仕事内容というより、社風と扱っている商品を信頼できないと心の底では思っているということがわかりました。
奥さんとも、よく話し合った結果、転職することにしました。
まず、社交的なことには変わりないので、営業よりも、接客、サービス業のアルバイトから慣らしていきました。

その間に、じっくりと、自分が本当に求めていることを、セッションで引き出していった結果、社内独立も視野に入れた、飲食店への就職を決断されました。
今では、症状もなく、店長になって独立を夢見ています。

職場復帰のコツ

私は、なるべく早い段階での、職場復帰をお勧めしています。
なぜならば、適切な方法とタイミングなら、改善が進む場合が多いからなんですね。
理由はいろいろですが、大きくは三つあります。
一つ目は症状にとらわれる時間が減るから。
二つ目は、強制力が働いて行動しやすい環境になるから。
三つめは、充実感が得やすいから。
タイミングとスケジューリングは慎重に検討が必要ですが、無理ない計画で、慣らしていけばとても良い行動療法になります。